
食物、農業、そして生活の女神
豊宇気毘売神(とようけひめのみこと)は、「豊かな食物の姫」を意味する名を持つ、食物・穀物・生命の糧を司る日本神話の神である。『古事記』では豊宇気毘売神と表記されるが、『日本書紀』には登場しない。もとは丹波国で祀られており、豊受大神、豊岡姫、大物忌神など複数の別称・別形が伝わっている。
伝承によれば、5世紀の雄略天皇の御代に、豊宇気毘売神は伊勢神宮外宮に迎えられ、太陽神である天照大御神に神饌を奉る役割を担うこととなった。外宮は神道において最も神聖な場所の一つであり、荒魂(あらみたま)を祀る別宮・多賀宮もその境内に置かれている。山形県の鳥海山大物忌神社でも、相殿神として祀られている。
この女神は大地の恵みと深く結びついており、神聖な糧と人間の生存との根本的なつながりを体現する存在である。大物忌神と豊岡姫という男女一対の神が豊宇気毘売神と同一視される伝承もあり、食物・豊穣・国土の繁栄にわたる彼女の広い影響力を示している。
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